励起用半導体レーザー

 

 DPSSの励起には、水冷ヘッドとコリメーターを含んだオールインワンタイプのLDアレイを使用。ポセイドンの水チューブがジャストフィット。内径6ミリのチューブである。
 カソードは2つあるが、どちらでも発振する。余りの大電流が必要なので、2つ付いているのだろう。

 検品で弾かれて流出した品を、イスラエルから個人輸入した。

 これだけで、約1.3キログラムの重さがあります (^_^;)

 裏側には、コリメーターの調整用ネジが見える。
 届いた時には約20センチ先に焦点を結ぶようになっていた。取りあえずそのまま使用。
 シリアルナンバー#56のようだ。

 18アンペア供給で低出力発振させたところ。
 長さ約2センチの線分状になっている。距離約20センチで線分が最も細くなるが、線分の長さは距離によらずほぼ一定。つまり、線分状ではあってもほぼ平行光線となるようコリメート済であり、通常の凸レンズを通せば一点に集光可能。

 白い四角の部分がこのLDアレイである。

 ところで、レーザー結晶に励起用LDの出力を当てる場合に、2つの方法がある。
 1つは新共立モジュールのようにレンズで集光(コリメート)することであり、もう1つは黒共立モジュールのように直射することである。
 LDの出力は大きく広がる上に縦横の広がり方が異なる非常に厄介なものだ。このため、集光するには複数のレンズを使用し微妙な調整をせねばならない。レンズの透過率は100%じゃないからロスも生じる。
 使われているLDの出力は大差無いようなのに黒共立の方がグリーン出力が大きいのも、このロスが響いていると思われる。

 その点、直射ならロスは無いし構造もシンプルになる。だが、LD光が拡散するため励起用LDをレーザー結晶スレスレまで接近させねばならない。設計が確定した上で大量生産する市販品では問題無いが、自作DPSSではこれが大問題となる。
 レーザー発振にはある程度のエネルギー密度が必要である。DPSSではレーザー結晶に出来るだけ高密度でエネルギーを与えた方が変換効率がアップする。ところが、直射で高密度照射するにはLDを結晶に近づけるしかない。
 両者の距離を0.1ミリ程度まで接近させねば、市販品に匹敵する変換効率は得られない。しかも、当たり前だがエミッターの前に保護ガラスが付いているタイプのLDは使えない。発振部分が剥き出しのLDを使う必要がある。

 LDの発振部分は要するに出力ミラーの役割をしているから、超高精度に仕上がっている。もし傷や埃が着けば、出力が激減するしクリーニングなどまず不可能。つまり、うっかりLDをレーザー結晶に接触させてしまったら壊したも同然なのだ。
 絶対に接触させることなく、0.1ミリの間合いに取り付け作業出来ますか?

 付属していた検品シート。放出されるレーザー光の強度分布等と思われる。
 左上に#56とある。55Aは定格55アンペアの意味だろうか?

 こちらが各種性能の検品結果。
 仕様を満たしているかどうかが測定されている。3つの項目で仕様を満たしていない。早い話がレーザービームの集光度が少し悪いのだ。
 要するに検品で弾かれた不良品なので、自分の手元にある次第。
 不良品と言っても製品として販売できないだけで、趣味のレーザーを作る上では全く問題なし。

 右下の数字は、電流と光出力の測定結果だろう。定格55アンペア、絶対定格67アンペアか?
 しかしテストで絶対定格ギリギリまで流すのは危険だから、実際はもう少し行けるのだろう。自分は大人しく55アンペアで使う。

 電源ユニットをテストしたらウンともスンとも言わない。かなり焦ったが結論はトリガー用の黄色いコードを接続ミスしたらしい。どうやらトリガーを1本にまとめては駄目なようなのだ。各DCコンバーター毎に物理的に分離された回路でON/OFFしなくてはならない。取りあえず個別スイッチだけ使って動作させることにした。
 LDドライバー1個有効だと、これまで何度も見た数ワット以下の808nmと同様の赤い光。掌にも余り熱さを感じない。本当にこのLDアレイちゃんと動くのか?
 不安になって2個目のスイッチを入れた瞬間、指を火傷(汗)
 電源ユニットは動いてるようだ★

 白い四角の部分に使用したのが↓ポジフィルム用のルーペである。

 LDアレイの高出力動作試験。金属の台に布ガムテープで固定。コリメーターとしてポジフィルム用のルーペ(9倍)をくっつけてある。レンズの2センチ弱前方に集光する。
 電源ユニットを接続し、アナログのパワーメーター(スケール100ワット)をターゲットにセット。 

 LDドライバー1個(18アンペア)の低出力発振では、針がピクリとも動かない。
 しかし、3個全部をONにして定格動作させると、針はジリジリと上昇しいつまでたっても止まらない。50ワット越えても止まらない。消費電力からして実際に50ワット以上出ている訳はない。

 このパワーメーターはどうやら20秒間照射してから針の止まる場所を読むようだ。だとすると25ワットしか出ていない。レンズを通したロスもあるし何より8月上旬という1年で最も暑い季節という点が響いていると思われる。出来れば最低30ワットは確保したかったのだが・・・
 だが、最悪状態でもネットで25ワット得られるというのは、バッテリー駆動の機器としてはそう悪くもないだろう。20秒の平均だから、レーザーポインターで良くある最初の数秒だけパワー最高あとはダラダラ出力落ちるばかり、という場合のピーク出力とは意味が違う。

 定番のフロッピーディスク試験。と言っても磁気円盤ではなくケースごとである。

(mpeg 759 KB)

 動画最初の赤い点は、LDドライバー1個の状態。すぐにパチっパチっと2回音がするが、電源ユニットの個別スイッチを追加でONにしたもの。これでLDドライバーが→2個→3個と定格動作になる。
 3個ONになった瞬間、フロッピーが火を噴いたので、慌てて横に引く。

 なんだ、貫通してないじゃないの?と思うかもしれないが、動画の通り慌てて動かしたのである。悠長に貫通するまで待ってたら、火事になってます(汗)
 集光してるったって、傷の太さを見て欲しい。焦点ピタリに置いた訳じゃないし普通に手に入るレーザーでは、集光しようがしまいが針先で突いたような(あるいは引っ掻いたような)傷しか付かない。
 磁気円盤を一瞬で撃ち抜いたとか、黒いプラスチックに傷が付いたとか、そういう話とは次元が違う★

 こんなもの共立グリーンレーザーの結晶ユニットあたりでは耐え切れないだろ・・・どうやって緑に変換するか?

 最高出力ポイントを捜して励起用LDの位置を調整している最中に、うっかりレーザー結晶を外れたらまたオオゴトになる。結晶ホルダーに結晶を止めている接着剤にレーザー照射してしまうと、燃えるか焦げるかしてしまう。
 そこで発生した煙がLDに付着すると、これまた一巻の終わりである。
 もしLD直射でフロッピーをこんな派手に燃やしたら、LDはもう使い物にならないだろう。

 レンズでコリメートする場合であれば、レーザー結晶との間合いを広く取れるしLD本体はレンズの奥に隠れている。だから、調整中にLDをオシャカにする可能性は低い。
 結局、DPSS自作には超精度かつノーミスの微調整能力が必要であるか、LDの拡散光を一点に集光する面倒な光学系を組み立てる必要があり、厄介なのだ。それだけに、コリメーターまでビルトインされたLDアレイの価値は大きい。

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