35分の1用DMDユニット

 

 ラジコン戦車と言えば16分の1だし、ラジコンカーと言えば10分の1前後。とにかくラジコンはでかい。
 最近になって京商のポケットアーマーが登場したけどトイラジで速度の調整は出来ない。ラジコンカーでも24分の1の小さなものは歩妙なハンドルが切れなかったりする。
 ミニスケールのラジコンはアナログな操作に対応していないことが多い。
 しかし、小さくても微妙な操作をして楽しみたいもの。35分の1の戦車に搭載可能な手ごろなアンプも無いので、これは自作するしかないでしょう。
 なお、16分の1用DMDと共通の部分は説明しないので、そっちも参照してください。

 

Hブリッジ

Hブリッジ  モーターを制御する定石がHブリッジです。図のようにH型の配線の中心にモーターを置き、4つのスイッチが取りつけられています。
 VCC側にある2つのスイッチH1とH2をハイサイド、GND側にある2つのスイッチL1とL2をローサイドと呼びます。
順回転  スイッチH1とL2をONにし、スイッチH2とL1をOFFにします。
 すると、図のように左から右へモーターに電流が流れ、モーターは回転します。
逆回転  今度はスイッチH2とL1をONにし、スイッチH1とL2をOFFにします。
 すると、右から左へモーターに電流が流れ、モーターは逆回転します。
 こうして、配線をつなぎ替えることなくモーターの回転方向を切り替えられるのです。

 

PWM制御

 Hブリッジを使えばモーターを両方向に回転させられることは分かりました。では、モーターの回転速度を変化させるにはどうすれば良いでしょう?
 回路にボリュームを付けるってのは無駄に熱として放出される電力が多く論外。
 これも定石があり、PWM (パルス幅変調) と言う方式です。
 要するに、モーターに加わる電圧を変化させる代わりに、電圧の加わっている時間を変化させようってことです。
 モーターへの通電を高速でONとOFFを繰り返し、ONになっている時間が長いほどモーターは高速で回転するって理屈です。モーターには慣性があり、通電がOFFになっても惰性で回転を続けるため、これでうまく行くのです。
Hブリッジ ここで、もう一度Hブリッジの通電図に注目。
 この場合ならスイッチH1をONにしたまま、スイッチL2を高速でONとOFFに切り替えれば、モーターに流れる電流もONとOFFを繰り返します。
 もちろん、スイッチH1の方を切り替えても良いけど、気分的に複雑な制御はGND側でやりたいなってのがあります。
 ただし、どの程度の速度でONとOFFを繰り返すかが問題。
 切り替えが速過ぎればモーターが回転を始める前にOFFになってしまい、モーターは回転を開始しません。だからと言って切り替えが遅過ぎると回転ムラが分かるようになり、ひどい場合は電流がOFFになった時に止まってしまいます。
 実際に35分の1タイガーに搭載する予定のアイテム・・・単3ニッケル水素電池4本とミニ4駆のトルクチューンモーターを使用し実験したところ、サーボパルスと同じ毎秒約60回のONとOFFを行うのが適当との結論に達しました。

 

パワーMOSFET

POWER MOS-FETFET 写真
 電気信号で手軽に大電流を切り替えるには、パワーMOSFETが便利です。大型ラジコン用の市販アンプはみんなパワーMOSFETを使用していると考えて間違いありません。
 モーターを制御する場合、モーターは回転すると発電機にもなるため、この時発生する回生電流を流すためのダイオードが必要になります。しかしパワーMOSFETは等価的にダイオードを内蔵しているため、ダイオードを外付けする必要がありません。
 パワーMOSFETには非常に多くのタイプがありますが、重要な区分はN型とP型です。
 パワーMOSFETには3本の足があり、ドレイン(D)とソース(S)の間に電流が流れようとします。この電流が流れるか流れないかを切り替えるのがゲート(G)です。
 ソースとゲートが同じ電位の時に電流OFFとなります。
 N型ってのは、ゲート電位がソース電位より高い時に電流ONとなります。電流はドレインからソースに向かって流れます。
 P型はこの逆で、ゲート電位がソース電位より低い時に電流ONとなります。電流はソースからドレインに向かって流れます。
 どの程度ゲート電位がソース電位より高かったり低かったりするとスイッチONになると言うと、以前は10V程度必要で使いにくいものでした。しかし最近は4Vや2.5Vの電位差で切り替わるものが発売させるようになり、5V系ロジックでも扱いが容易になっています。

 今回はN型として日立の2SK3142、P型は2SJ471を使用。
 いずれも秋月電子で購入したが、性能はP型の方が桁違いに悪い。P型は入手困難で、買えただけでも良しとしないといけない。4V動作時に2SK3142はON抵抗5.5ミリオームという小ささだが、2SJ471は40ミリオームもある。最大電流も60Aと30Aである。
 特性図から見るにP型が高性能を発揮出来るのは10A程度まで。しかし35分の1ということでミニ4駆モーターを動かす程度なら十分な性能と言える。
 ビッグスケールなら市販アンプ使えば良いんで、35分の1では性能よりもサイズが問題になる。性能の低いP型だが、これを使うことで部品点数が減る効果が大きい。
 なお、端子はいずれも写真の左からゲート、ドレイン、ソースの順である。

 

FET使用Hブリッジ  Hブリッジの4つのスイッチにパワーMOSFETを割り当てると、図のようになります。
 ハイサイドにP型、ローサイドにN型を使用します。
 ローサイドFETのソース電位はGNDで、ハイサイドFETのソース電位はVCCです。
 ローサイドFETはN型なので、ゲート電位をGNDにするとOFFになり、VCCにするとONになります。
 ハイサイドFETはP型なので、ゲート電位をGNDにするとONになり、VCCにするとOFFになります。
 今回はシステム電源は4.8Vの予定。
 受信機やサーボは4.8V動作だし、制御用のPICもその位が適切。そこで、ニッカドまたはニッケル水素電池を4本使って電源にする。
 となれば、ソースとゲートの電位差が4Vで動作するパワーMOSFETを使用すればバッチリなはずです。
 Hブリッジってのは左右同じであることに注目!
 実際に工作する時は左半分だけ考えて、それと同じものを2つ作ればよいのです。

 

 モーターは2.4V〜3V用なのにシステム電源は4.8Vで高過ぎる。
 でも心配無用。PWM制御で電流の流れている時間を可変させるけど、最高でもせいぜい5割や6割の時間だけONになっているようにすれば良いのです。
 こうするとPICのプログラムで割り込みを使用しなくて良いというメリットがあります。
 スロットルとエルロンの信号を読むのに約3ミリ秒。これを左右キャタの動きに変換する計算に約1ミリ秒。次のサーボパルスが来るまで10ミリ秒以上の余裕があるので、時間待ちループでモーターへの電流をONにすれば良いのです。
 こうなるとモーターよりシステム電源の電圧が十分に高いことが逆にメリットとなります。

 

PICで制御  以下ではHブリッジの左半分を最小単位として考えます。
 モーター1つにこれが2つ。戦車では左右それぞれ1つずつモーターを使うので、全部で4つ同じものを製作します。
 FETのゲートがオープンになっていると、スイッチが勝手にONになる可能性があります。何かの拍子でローサイドとハイサイドのFETが両方同時にONになると、VCCとGNDがショートしてしまいます。
 そこで、ローサイドのFETのゲートを抵抗でプルダウンし、万一ゲートがオープンになってもスイッチOFFになるよう安全対策を施しておきます。
 ゲートはPICの出力I/Oに接続。ローサイドは0を出力すればスイッチOFFで、1を出力すればスイッチONです。ハイサイドは1を出力すればスイッチOFFで、0を出力すればスイッチONです。
 FETのスイッチング速度は無限ではないため、PICで制御する場合はプログラミングに注意しないと両FETが同時ONになってショートする事故が起こるかもしれません!
回路の実物FET勢揃い  回路図ってのはシンプルなものでも複雑に見えてしまい、なかなか手を出しにくいものです。でも恐れる必要はありません。
 実際に組んだら、たったこれだけのシンプルなものです。
 左が最小単位。N型とP型のFETが1つずつに抵抗を1つ付けただけです。
 右はこれを2つ組み合わせたもので、配線ミス。これで最初動かなかった(汗)
 4組同じ向きに合体させたのが正しい。

 

DMD UNIT 裏  ハンダ付けし易い厚さ0.3ミリのトタン板で電極を製作。太い方がGNDである。
 まず、パワーMOSFETのGNDとVCCを配線。中央には容量1ファラッドの電気二重槽コンデンサーを装備。
DMD UNIT 表  一方の端にPIC16F84のソケット。
 黄色の4本のコードがFETのローサイドに接続。緑色の4本のコードがFETのハイサイドに接続。
 赤い3本は尾灯LEDと受信機のスロットルおよびエルロンに接続される。
 FETから突き出す2本ペア2組の端子にモーターを接続する。

 

RA2 OUT LOW FET 2 LOW FET 3 OUT RA1
RA3 OUT LOW FET 1 LOW FET 4 OUT RA0
RA4 未使用 セラロック
10MHz
CLK
リセット +直結 CLK
GND −直結 +直結 VDD
RB0 未使用 HIGH FET 1 OUT RB7
RB1 OUT 尾灯LED HIGH FET 2 OUT RB6
RB2 IN スロットル入力 HIGH FET 3 OUT RB5
RB3 IN エルロン入力 HIGH FET 4 OUT RB4

 FETにはハイサイド、ローサイドそれぞれに1から4までの番号を付けてあります。
1:左モーター左半分
2:左モーター右半分
3:右モーター左半分
4:右モーター右半分

PICソースリスト dmd2.lzh

 実際に35分の1タイガー1に搭載した自作DMD用のPIC16F84用のソースリストです。
 秋月電子のキットを前提にしているため、他のアセンブラではうまくアセンブル出来ません。
 タイガー1で動作確認はしていますが、例によって保証はありません。利用は個人の責任でお願いします。また、ソースリストの内容に関する質問はお受け出来ません。

 

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