コイルガンの単純構成 |
小型ラジコン戦車やリアル二足歩行ロボットなど重量的にも空間的にも積載余地の非常に少ない機器に搭載可能な、コンパクトなコイルガンの作り方です。回路図は以下の通り。
弾丸は入手性実用性を考慮し、パチンコ玉を採用。
マイコンやラジコンとの相性を考慮し、電源はニッケル水素充電池4本を想定。エネループを推奨する。
スイッチSW1をONにするとDC−DCコンバーターが動作し、コンデンサーを330Vで充電する。充電が完了するとSW1をOFFにし、トリガースイッチを押す。
すると、サイリスターが導通し、コンデンサーからコイルに対し瞬間的に大電流が送り込まれる。発生した強力なパルス磁力がパチンコ玉を吸引し、加速させる。
重さ5グラム半のパチンコ玉は1000G以上で加速され、僅か数ミリ進む間に秒速15メートル近くに達します。適切に製作すれば、コンデンサーに蓄えた電気エネルギーの2〜3%が運動エネルギーに変換されます。室内模型に搭載するオモチャ武装としては、充分な性能です。
パワーこそエアガンと同レベルの0.5ジュール程度ですが、発射時の反動は強烈なので搭載位置と固定方法に注意が必要です。
使用するパーツはすべて、秋葉原の店頭で入手可能なものばかりです。
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補助DC-DCコンバーターの製作 4.8Vでは電圧が低過ぎてコンデンサー充電器の動作が安定しない。そこで、6V以上を作り出す小電流の補助電源を製作する。20ミリアンペア取り出せれば足りる。 |
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コンデンサー充電器の製作 直流4.8Vから330Vを作り出し、高圧コンデンサーを充電するコンパクトなインバーターを製作します。3.7Vのリチウム充電池でも動作可能。 |
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放電回路の製作 コイルガンの回路として最もシンプルな、フライホイール型を採用。 |
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ガングリップの製作 バッテリーケースをそのまま利用してグリップとする。 |
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加速コイルの製作 コイルガンの性能は加速コイルの仕様に大きく影響される。使用するプロジェクタイル(弾丸)やコンデンサーのスペックによって最適なコイルは変化する。 |
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チャンバーの製作 弾丸パチンコ玉を所定の位置に固定するための薬室。地味でありながら実はコイルガンでもかなり製作が難しい部分である。 |
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全体の組み立て 製作したパーツを銃としてまとめます。 |
低速の弾丸は山なりに飛んでいく。キャノン砲という雰囲気ではない。普通のラジコン戦車の主砲には向かないだろう。魅力は山なりの弾道それ自体にある。
試しに仰角掛けて発射。ゆっくりと2秒ほどかけて約15メートル先まで飛んでいくパチンコ玉は、異様な存在感がある。着弾まで2〜3メートルもある時点で、近くの地面に居た鳩が驚いて飛び立った。
パチンコ玉は日光を全方位に反射するため、晴天屋外ではとんでもなく視認し易い。それが悠々と空中に弧を描く。迫撃砲やロケット砲としてなら雰囲気出しまくりである。
主力戦車の高速戦車砲にはイメージが合わないが、ストームタイガーの大口径ロケット砲としてなら最高だろう。撃ってみて感じたが、マトを用意しなくてもいい。飛んでいくパチンコ玉そのものに魅力がある。山なり弾道で池ポチャも楽しい。気分は艦砲射撃。これらの雰囲気はエアガンではまず味わえない。
しかし動画の通りで直進弾道ではない点が気に食わない向きもあろう。エアガンとコイルガン。両方揃うと楽しいだろう。実際の戦場においても、キャノン砲と迫撃砲はどちらにも存在価値がある。
それにしてもコイルガンは新鮮。昼間の町中だと、まさに異様。異様なまでに発射音が無い。スリングショットでもゴムが震える音はある。それがコイルガンには何も無い。完全な静粛でいきなりパチンコ玉が飛び出す。これまで経験したことのない感覚だ。